大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和31年(ラ)14号 決定 1956年3月30日

抗告人 米田昌朔

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

本件抗告の趣旨ならびに理由は、別紙記載のとおりである。

(一)  抗告理由中競売の続行を延期する旨の約束があつたとの点について。

抗告人は債権者である共栄金融合資会社との間に本件競売の続行を延期する旨の約束があつたと主張するけれども、右は適法な抗告理由とならないものであるし、仮りに右主張の趣旨を抗告人が右債権者より履行の猶予を得たとの意味に解してみても、その事実を認めるに足りる何等の証拠もないから、抗告人の主張は右いずれの点からみても採用するに値しない。

(二)  抗告理由中競売の終局が違法になされたとの点について。

抗告人主張の競売期日における本件不動産競売調書中には、執行吏は午前十時五分に競買価額の申出を催告し、同十一時五分に競売の終局を告知した旨の記載があるが、この記載は執行吏において競買価額の申出を催告した後、満一時間を経過した瞬時に本件競売を終局したことを意味するものと解せられるから、本件競売期日における競売手続には所論のような違法は存しない。それゆえ、この点に関する抗告人の主張もまた採用することができない。

なお、記録を精査してみるも、本件競落を不許とするべき事由を見出すことができないゆえ、原決定は相当である。

よつて民事訴訟法第四百十四条、第三百八十四条、第九十五条、第八十九条を適用して、主文のとおり決定する

(裁判長裁判官 猪股薫 裁判官 雨村是夫 裁判官 安久津武人)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例